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クレジットカード決済・徹底ガイド

クレジットカード決済の仕組みや、手数料の概要、オンライン・対面決済を最適化する方法について解説します。

8月 21日, 2024
 ·  6 分

米国、英国、カナダの顧客との取引がある企業では、ほぼ間違いなくクレジットカード決済に対応しているでしょう。しかし、顧客が「支払う」をクリックした後の流れについて、あなたはどの程度ご存知でしょうか?

その後の数ミリ秒の間に、決済処理は複数のシステムを通過します。決済が成功すれば、顧客はそのまま日常生活に戻りますが、決済が失敗すれば、顧客を失うかもしれません。あるいは、それが不正行為の試みだったというケースもあるでしょう。

クレジットカード決済と顧客について詳しく知れば知るほど、カード決済の結果をよりコントロールしやすくなります。

この記事では、カード決済プロセスについて順を追って説明し、適切なフィンテックプラットフォームを使用することで、カード承認率、コンバージョン率、収益をどのように改善できるかを解説します。

クレジットカード決済とは?

クレジットカード決済は、事業者がクレジットカードによる支払いを処理する方法です。顧客がクレジットカードをスワイプ、挿入、またはタップして購入を行うと、いくつかのステップを経た後に、顧客の口座から事業者の口座への支払いが承認され、送金されます。実質的には支払い処理と同じですが、購入者がクレジットカードを使ってオンラインや対面で、またはPay by Link(リンク型決済)などで支払うことが含まれます。

クレジットカード処理の主な関係者

処理時間は数秒ですが、それでも複雑であることは変わらず、以下のような多くの関係者が関与しています。

  • カード保持者

  • 事業者/加盟店

  • 決済ゲートウェイ:決済の開始を支援しますが、金銭の流れには直接関与しません。

  • 決済代行:決済代行システムから情報を受け取り、クレジットカードブランド、アクワイアラー、イシュアーの間で通信を行います。

  • 国際ブランド:クレジットカードのブランド(Mastercard、Visaなど)のことで、顧客のカードに関する規則を定め、インフラを提供します。

  • イシュアー:顧客にカードを発行する銀行のことで、カード保持者の銀行と呼ばれることもあります。

  • アクワイアラー:企業と提携してクレジットカード取引を処理する銀行のことで、事業者から取引情報を受け取った後、イシュアーに伝えてオーソリ(決済の承認)を得ます。

クレジットカード処理の仕組み

  1. クレジットカード決済の開始後、事業者がカード保持者の詳細情報を決済ゲートウェイに送信します。

  2. 決済ゲートウェイが独自の基準に従って情報を変換し、決済代行と共有します。

  3. 決済代行が国際ブランドに情報を伝達し、カードブランドが顧客の銀行と情報を共有します。顧客の銀行は、口座に十分な資金があるかなど、いくつかのチェックを行います。

  4. これらのチェックの結果に基づき、顧客の銀行が取引の承認可否を国際ブランドに伝えます。

  5. 国際ブランドがこのメッセージを決済代行に転送し、決済代行がこれを決済ゲートウェイに転送し、事業者と顧客に伝えられ、購入が完了します。

  6. 資金が顧客の銀行口座からアクワイアラーの銀行口座に送金された後、事業者の銀行口座に送金されます。入金はその後数時間~数日以内に行われます。

クレジットカード決済手数料:支払うのは誰?

クレジットカード決済手数料は、消費者ではなく、事業者が支払うことになります。この手数料の額は、決済代行会社の料金体系によって異なり、パーセンテージで手数料を請求する会社もあれば、取引1件ごとに定額料金を請求する会社もあります。取引件数が多い事業者にとっては、定額料金体系の方が費用対効果は高いかもしれません。請求書には、合計手数料(ブレンド型プライシング)または費用の詳細内訳が記載されている場合があります。これらの手数料は、クレジットカード決済の各段階で加算されます。以下に、こうした手数料の内訳を示します。

  • 処理手数料:取引の処理料として、決済プロバイダーが請求

  • 国際ブランド手数料:ネットワークの利用料として、クレジットカードの国際ブランドが請求

  • インターチェンジ手数料:顧客の銀行が請求

  • アクワイアリング手数料:アクワイアラーが請求

クレジットカード決済において、通常、最大の費用となるのがIRF(インターチェンジフィー)です。インターチェンジフィーは、カードの種類、取引手段、その他の要因に応じ、通常は1.5%~3.5%の範囲で変動します。料金体系や手数料は、カードの種類(消費者向けデビットカード、企業向けデビットカード、プリペイドカードなど)と同様に、マーケットごとに異なります。また、これらは常に変化し続けています。

その他の注意すべき手数料:

クレジットカード決済手数料は、取引の種類、場所、企業のビジネスモデルなどによって異なる場合があります。また、セットアップ手数料や接続手数料などの1回限りの費用を請求する決済代行会社もあります。さらに、3Dセキュア、不正防止、決済承認率(オーソリ)最適化などの付加価値サービスを提供している会社もあり、これらは全体的なコストに影響する可能性がありますが、ビジネスに大きなメリットをもたらします。また、決済端末/ターミナルの手数料がかかる場合もあります。

当社のクレジットカード決済手数料の詳細については、プライシング(手数料)のページをご覧ください。

クレジットカード決済手数料を減らす方法

ローカルアクワイアリングのグローバルな活用

トランザクションは一般に現地で処理した方が安くなります。現地の規制や優遇手数料による恩恵を受けられる唯一の方法であることから、可能な限り現地のアクワイアラーを利用することが望ましいと言えます。現地のアクワイアリングネットワークを活用すれば、インターチェンジネットワークへの依存度を減らし、大幅なコスト削減を実現できます。

Adyenのサービス内容:現地のライセンスとネットワークを活用したグローバルな展開により、単一のAPIによる効率的な決済処理を可能にします。

適切な決済手段の提供

人気の高い決済手段の導入により、コスト削減や顧客体験の向上を実現できます。企業は、顧客が好む銀行振込などの決済オプションを用意することで、高コストなカードブランドへの依存度を低減できます。

Adyenのサービス内容:当社のプラットフォームでは、単一のAPIを通じて200種類以上の決済手段を利用できます。主要な国際ブランドに加え、世界各地で利用されている決済手段対応しています。

適切なチャネルを通じた決済のルーティング

決済のルーティングは本質的に複雑ですが、高度な機械学習モデルでプロセスを効率化できます。具体的には、最も費用対効果が高く、パフォーマンスの良いネットワークを通じて取引を処理できるようにすることで、サブスクリプションフィーなどの各種手数料の削減が見込めます。

Adyenのサービス内容:トラフィックからBINを分析し、デュアルブランドまたはマルチブランドのカードを特定することで、コストを最小限に抑える最適なルートを選択します。

クレジットカードの住所確認サービスの利用

住所確認サービス(AVS)とは、カードイシュアーがカード保持者の請求先住所を確認するシステムです。これは、カード不介在詐欺防止に大きく役立つことで知られています。しかし、コスト削減にも大きく役立つことはあまり知られていません。

VisaとMastercardは、AVSをグローバルにサポートしています。米国のVisaは、取引に対してAVSチェックを実行した場合にインターチェンジフィーを引き下げることで、事業者にAVSの利用を促しています。

Adyenのサービス内容:AVSやその他の高度な不正防止対策を接続することで、事業者が不正取引のリスクを低減し、決済処理のコストを最適化できるよう支援します。

最適な決済代行の選択

「最適」の定義は、ニーズによって大きく変わります。ここでは、検討する際に役立つ要素を紹介します。

セキュリティとコンプライアンス

セキュリティについては妥協の余地がありません。プラットフォームは、機密性の高い決済情報を保護するための強固なセキュリティ対策を提供できる必要があります。顧客データを守るには、PCI DSS準拠、トークン化、暗号化などの対策を考慮します。さらに、リスクを低減し、進化し続ける規制に確実に準拠するため、不正検出・防止のメカニズムが組み込まれたプラットフォームを検討しましょう。

拡張性とグローバル展開

ビジネスの拡大に伴い、プラットフォームも容易に拡張できる必要があります。パフォーマンスを損なわずに大量の取引を処理できるソリューションを選択しましょう。また、グローバルに事業を展開している企業の場合、さまざまな通貨や決済方法に対応できるプラットフォームを選択して、世界中の顧客に一貫性のある体験を提供できるようにします。

接続と柔軟性

既存のシステムとの接続は、スムーズかつ簡単であるべきです。柔軟なAPIなら、ERP、CRM、その他のビジネスアプリケーションとのシームレスな接続が可能で、業務の効率化やマニュアル業務の削減を実現できます。カスタマイズや将来的な機能強化に備え、開発者向けツールや詳細なドキュメントを備えたプラットフォームを検討しましょう。

顧客体験

シームレスな決済体験は、コンバージョン率に大きな影響を与えます。さまざまな決済オプションを用意しており、ワンクリック決済、モバイルウォレット、その他の最新の決済手段に対応できるプラットフォームを選択しましょう。保存されたカード情報の自動更新機能や、使いやすいインターフェースなどは、顧客満足度とロイヤルティの向上につながります。

分析とレポート

詳細な分析・レポート機能は、適切な情報に基づく意思決定を行う上で不可欠です。プラットフォームは、取引データに関するリアルタイムのインサイトを提供し、トレンドの特定、パフォーマンスの監視、決済プロセスの最適化を支援できる必要があります。包括的なレポートツールは、効率的な口座照合やディスピュート管理を行う上でも役立ちます。

サポートと信頼性

信頼性の高い顧客サポートも不可欠です。プラットフォームが年中無休のサポートを提供しており、迅速かつ効果的な問題解決の実績があるかを確認してください。混乱を回避し、事業の継続性を維持するためには、優れたアップタイムと信頼性が重要です。

総所有コスト

総所有コストを評価します。これには、取引手数料、セットアップ費用、表面化しにくい料金が含まれます。コストは重要な要因ではあるものの、大切な機能やサービス品質を犠牲にしてまで削減すべきではありません。料金モデルの透明性が高ければ、予算編成に役立ち、投資に対して最大の価値が得られます。

適切なフィンテックプラットフォームを選択することは、企業の効率性、顧客体験、収益に影響を与える戦略的な意思決定の1つです。セキュリティ、拡張性、接続、サポートを優先することで、現在のニーズを満たし、将来の成長を支えるソリューションを選択できます。

クレジットカード決済用の単一フィンテックプラットフォーム

Adyenなら、貴社のEコマースプラットフォームを介した接続を行う、当社のドラッグ&ドロップ要素を利用する、あるいは当社のAPIを使って貴社独自の決済体験を構築するなど、あらゆるユースケースに対応可能です。また、「最初の90日間」のセットアップサービスにより、すべての企業様が成功に向けた準備を確実に整えられるほか、いつでも継続サポートをご利用いただけます。

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