ガイドとレポート

不正利用対策における「成功」とは: カギとなる指標と課題について

不正利用防止ブログシリーズの最終回となるパート3では、不正利用防止ツールが機能しているかを判断する方法と成果を測る方法についてご紹介します。

Xinying Teo  ·  Adyen
7月 20日, 2023
 ·  4 分

不正利用の防止は、オンライン決済を扱うあらゆる企業にとって不可欠な取り組みです。不正利用から自社と顧客を守るために努力する一方で、どういったツールや戦略が不正利用防止に有効なのかを判断するのは難しいものです。

この記事では、不正利用の防止とはどのようなものなのか、そして企業が考慮すべき主な指標、および不正利用防止対策の評価・改善で直面する課題について解説します。

「成功」を定義する

不正利用防止の対策を評価する際には、決済全体の効果を最終的な指標として考える必要があります。不正利用を完全に排除するためにすべての取引をブロックしてしまいたいと思われるかもしれませんが、多くの正当な取引や誤検知をブロックして貴重な収入を失う可能性があるため、ビジネスの観点からは得策ではありません。(リスクのバランスをとるための細かいアプローチについては、こちらをご覧ください)。

最大限の成果を得るために、リスクツールによってブロックされた正当な収益 vs 不正利用による損失、認証経験におけるオファーコンバージョン vs フリクション、認証フローにおける取引成立 vs コストなど、決済フロー全体でさまざまなトレードオフのバランスを取る必要があります。ドロップオフ、コスト、チャージバックを差し引いた純収益を最大化する最適な方法が求められるのです。

重要業績評価指標(KPI)

企業は、不正利用防止対策の効果を評価するために、特定のKPIに焦点を当てる必要があります。チャージバック率や全体的な承認率への影響は、不正利用防止対策の有効性が直接反映される極めて重要な指標です。

加えて、リスク防止に充てるリソースなどの運営上の諸経費を考慮することで、不正利用防止戦略の全体的な有効性と効率性をより正確に評価できます。

人間とテクノロジーの役割

人工知能(AI)と機械学習の進歩は、不正利用防止に大きな変革をもたらしました。しかし、機械学習が一般的な不正利用の傾向を自動的に検出できる一方で、不正利用犯も絶えずその手口を巧妙化させていることを忘れてはなりません。

これは特にフィッシング詐欺のような巧妙な手口において顕著に見られます。複雑で微妙なケースの対処には、引き続き人間の判断が必要不可欠です。したがって、最善の結果を達成するためには、AIを活用したツールと知識豊富な対策チームの組み合わせが必要となります。

戦略の評価

不正利用防止戦略を評価するにあたって、企業はいくつもの課題に直面します。データへのアクセス制限、ツール不足、不正利用防止ツールの複雑さなどが、正確な評価の妨げになります。また、企業は、不正利用の防止、レピュテーションの管理、顧客の信頼維持のバランスを取る必要があります。

透明性と連携体制

企業が不正利用防止対策にどの程度の透明性を確保すべきかについては、しばしば議論されています。知識や経験を共有することはコミュニティにとって有益ですが、過度な情報の公開は不正利用を助長することにもなりかねません。

セキュリティを損なうことなく、適切な人材が専門知識にアクセスできるような連携体制を実現するためには、慎重なバランスが求められます。企業は、自社のブランドイメージ、顧客の感じ方、過度な情報漏洩のリスクを考慮しながら、この問題を慎重に扱う必要があります。不正利用防止対策に積極的かつ連携的に取り組むことの重要性については、こちらをご覧ください。

Chart showing Fraud Management KPIs by region, revenue, and MRC status with significant decreases and increases indicated.

ベンチマーク

不正利用防止対策を業界標準に照らし合わせて評価することは、事業者が自社のパフォーマンスを測る上で極めて重要です。Merchant Risk Council(MRC)のような組織は、貴重な業界ベンチマークとなるリソースやレポートを提供しており、事業者が業界標準と自社のパフォーマンスを比較する際に役立ちます。

まとめ

不正利用防止とは、単に不正利用率を低減するだけではありません。企業は、チャージバック率、承認率への影響、運用間接費などの指標に注目し、戦略の有効性を評価する必要があります。

AIを活用したツールと人間の専門知識を組み合わせることは、巧妙化する不正利用の手口に対抗する上で不可欠です。限られたデータアクセスや主観的要因といった課題は、成果の測定を複雑にしています。知識の共有とセキュリティの適切なバランスを取るために、透明性連携体制には慎重に取り組まなければなりません。

業界のベンチマークや標準を活用することで、企業は不正利用防止対策を強化し、不正利用から企業と顧客を守るための有益な知見を得ることができます。

不正利用防止ブログシリーズを見逃した方のために、パート1とパート2をご紹介します:

パート1では、不正利用の検知について、その課題と解決策を解説しています。

パート2では、不正利用防止と、積極的な策を講じることや、決済エコシステム内での連携の重要性について深く掘り下げています。

私はAdyenのプライバシーポリシーを確認した上で、それに基づき私の個人情報が使用されることに同意します。