販売時点情報管理(POS)システムとは
はじめに、店舗決済に欠かせない販売時点情報管理(POS)とはどんなシステムなのか改めて理解しましょう。販売時点情報管理は、実店舗での顧客の支払処理(商品スキャンからレシートの発行)に加え、売上データを収集、処理するシステムです。収集されたデータは売上の分析だけでなく、在庫管理、顧客分析などビジネスを成長させるために様々な用途で用いられ、小売やサービス業界のサービス向上や業務効率化に貢献してきました。
実店舗の現在と販売時点情報管理(POS)システムの重要性
最近はデジタル化とEコマースがますます注目を集めており、実店舗でのショッピングは過去の遺物だという誤解も生まれています。しかし、香港やシンガポールなどのショッピングモールに足を踏み入れれば、そんなことはないとおわかりいただけるでしょう。ただし、変化したまま元に戻らないものもいくつかあります。そのような変化については、後で取り上げます。
実店舗の利用動向
まず、よく聞かれる「実店舗は終わったのか?」という質問に答えると、実店舗が現役であることに疑問の余地はありません。Eコマースの取引量は増えていますが、営業を再開する実店舗も増えており、その取引も非常に良く持ちこたえています。購入客にとって「Eコマース対実店舗」のような対立構造が存在したことは一度もなかったのだという事実が再確認されつつあります。
当社の『Adyenアジリティーレポート』などの複数の調査により、購入客が購入先のチャネルを選ぶ際の決め手となるのは、デジタルに関する知識よりも利便性であるということが判明しています。ただし、新型コロナウイルスの大流行のために、リテール業界は苦戦を強いられている状況です。
アジア太平洋地域の購入客の70%以上は、特に店舗が営業を停止して小売業に制限が課されたコロナ禍の一番大変だった時期に柔軟な対応をしたブランドへの期待を高めています。また、ロックダウン中のオンラインショッピングでポジティブな体験をした後、初めて実店舗を訪れる購入客は、同様のブランドエクスペリエンスが実店舗でさらに強化されることを望んでいるでしょう。
ではどうすれば、今まで以上の期待を寄せる購入客向けに、楽しいブランドエクスペリエンスを創出しながら、さらに便利なショッピングを提供できるでしょうか?
実店舗の課題
ブランド各社は、まず、実店舗の役割が変わったことを認める必要があります。実店舗は、単に在庫がある場所ではなく、ブランドのビジョンやストーリーを映し出す、キュレーションされたギャラリーあるいはショールームとして捉えられるようになりつつあります。
購入は、実店舗の場合とそうでない場合がありますが、実店舗の場合は、購入客にとってシームレスで簡単でなければいけません。現在最も懸念されているのは安全と衛生なので、店舗は以下を減らす方法を考える必要があります。
待ち時間(人同士の接触)
POS端末の操作(人と表面との接触)
販売時点情報管理(POS)システムに必要なポイント
上述した2つの課題の解決はもちろんですが、今後のビジネス成長のためにはどのような販売時点情報管理(POS)システムが必要になるのでしょうか?Adyenのカウンター用のPOS端末、モバイルPOS(mPOS)、セルフサービスカウンター用のPOS端末などのソリューションは、それらの課題を解決しながら、さまざまなビジネスニーズに応えることができるメリットがあります。 それらのメリットはビジネス成長に欠かせないものであり、現代に求められる販売時点情報管理システムのポイントです。
売上転換率と衛星課題の解決
まずは、販売員が接客したその場ですぐにチェックアウトできるmPOSソリューションです。モバイルPOSソリューションの利点は、実店舗で行列ができないことです。行列での待ち時間が長ければ長いほど、売上への転換率が下がるので、これは大きなメリットです。
ブランド各社が人同士の接触の削減を目指す中、購入客が自由に実店舗を歩き回ってブランドを体験できるようにするための手段として、キオスクとセルフサービスチェックアウトの人気が高まっています。AdyenのセルフサービスPOS端末を統合すれば、ブランドエクスペリエンスを邪魔しない容易なチェックアウトを実現できます。
決済方法の柔軟な拡張
今後のビジネス成長を踏まえた場合、決済方法を簡易かつ柔軟に追加でき、顧客が好む、利用する決済方法に対応できるかはとても重要です。昨今ではカードやモバイルウォレットといった非接触型決済の需要が増しています。それらに対応できないとなると売上機会の逸失、顧客離れにつながる恐れがあります。
AdyenのPOSソリューションによる柔軟な決済方法拡張
AdyenのPOSソリューションの重要なメリットの1つが、主な決済方法をサポートし、新しい決済方法を追加することができる柔軟性です。Adyenは世界の多くの販売時点情報管理(POS)システム と提携しており、加盟店が難しい設定作業をしなくても活用できる統合機能をあらかじめ組み込んでいます。当社のチームにご相談いただければ、最も有効なアプローチをご提案いたします。また、AdyenのPOS(決済端末)サービスの詳細についてもご案内できます。
決済データの統合管理
ブランドとの初の接点がオンラインだった顧客についてはどうでしょうか?昨今、最初のブランド接点、購入の場がEコマースサイトやアプリであることは珍しくありません。つまり、オンライン・オフライン問わず顧客の販売データを収集するポイントが存在します。重要なのは、収集したデータがそれぞれ独立した形で管理されるのではなく、統合管理できるかです。
Adyenの単一決済プラットフォームによるデータ統合
銀行などの従来のPOS決済業者と異なり、AdyenのPOS端末では、店舗内の顧客に関する洞察を獲得できます。またAdyenのプラットフォームを介し、オンラインおよびアプリ内での取引も統合できます。店舗、オンライン、モバイル決済に対応したAdyenの決済プラットフォームを使用すれば、すべてのチャネル間で決済取引を結び付け、チャネルをまたがるユニファイドコマース戦略を効果的に実施することができます。
加え、Adyenの導入によって加盟店の財務部門とIT部門にとって常に大きな課題となっている報告や照合にかかる時間とリソースの節約も可能です。
ブランド各社がクリック&コレクト、ネット購入・店舗返品、さらには商品が尽きることがない「エンドレスアイル」などの技術を導入できるようになることから、このユニファイドコマースアプローチは、顧客にとっても有益です。返品された商品の支払額を、店舗で使えるポイントに変換することもできます。お得意様プログラムも、チャネル間で共有できます。
実店舗は引き続き、業界を問わず、チャネルを越えて広がるブランドエクスペリエンスの要です。さらに多くの成果を得るためには、POS端末や実店舗での取引が今後も必要となります。
チャネルそのものや、決済方法に関する顧客の好みなどは進化し続けるので、直近のビジネスニーズを満たすだけではなく、お客様とともに成長し、お客様のビジネスを次のレベルに引き上げる決済パートナーが不可欠です。
販売時点情報管理(POS)システムの業界別導入事例
Adyenの販売時点情報管理(POS)システム導入企業がどのような成果を得られたのか紹介します。
リテール:POSシステムでブランドと顧客の関係を強化
リテール業界では、おそらく他の業界よりも、オンラインとオフラインの境界が曖昧です。競争の激しいリテール業界では、ブランドのリピート利用を促す、あるいは購入客がブランドで便利に買い物できるようにすることが、かつてないほど重要になっています。当社のユニファイドコマース加盟店である、アジアで大人気の婦人服ブランドのLove, Bonitoは、次のようにコメントしています。「当社の拡張期に、シームレスなショッピングエクスペリエンスをお客様に提供できる決済パートナーを探す中で、Adyenと出会いました。現在ではAdyenが、オンラインとオフラインのユニファイド決済エクスペリエンスをお客様に提供しています。」
Love, Bonitoの実店舗では、AdyenのPOSソリューションにより、Apple Pay、Google Pay、カード、ウォレットといった好みの決済方法で代金を簡単に支払うことができます。特定の実店舗にない商品は、その場で注文し、自宅に配送することも可能です。このように売り場が無限に広がるエクスペリエンスは、Love, Bonitoの人気のドレスやブレザーがすぐに手に入るので、購入客からも好評です。
それだけではありません。オンラインと実店舗の両方での購入が可能な場合は、複数のチャネルで買い物する同じ購入客をPOS端末が認識できなければなりません。ネット購入・店舗返品(BORIS)、試着後購入エクスペリエンス、チャネル間のお得意様プログラムなどを実現できれば、付加価値を提供するだけではなく、購入客とブランドの間の距離を近づける摩擦のないシームレスなショッピングエクスペリエンスを創造することが可能になります。
飲食業:一貫性のある迅速で簡単なオーダー&ペイエクスペリエンスを実現するPOSシステム
飲食企業、特にQSR(クイックサービスレストラン)にとってはスピードが命ですが、POS端末は迅速な決済を可能にするだけではありません。他のあらゆる業界と同様、最終的には顧客が第一で、楽しく食事してもらうことが大切です。実店舗のカウンターでの注文がほとんどだった業界に、現在ではキオスク、アプリ、セルフレジなどが実店舗等のチャネルとして追加されています。飲食ブランドが劇的に変化するためのPOS需要が高まりつつあります。
Adyenでは、シームレスなエンドカスタマーエクスペリエンスを実現するために決済ソリューションの構築と最適化に注力し続けています。そのためAdyenの加盟店は、コロナ禍にもすぐに適応し、方向転換することができました。
シンガポールの飲食業は、食事客が現金を使わなくなってきたことに気づきました。カジュアルなメキシコ料理チェーンのGuzman y Gomez(GYG)は、次のようにコメントしています。「現金決済はどんどん減っています。最近は、非接触型決済とモバイル決済が好まれます。処理はとても簡単で、AdyenのPOS端末にカードかデバイスをタップするようにお願いするだけで済みます。」
決済の迅速化は主なメリットの1つですが、これに加え、GYG Singaporeのジェネラルマネージャー兼マスターフランチャイジーであるJosh Bell氏は、次のように述べています。「Adyenのインフラを導入したことで、GYGは、消費者の行動や決済方法の構造的転換にシームレスかつ楽々と適応することができています。」
ホスピタリティ:対象範囲を広げて照合を支援する簡単なPOSシステム
POS端末と言えば、ホスピタリティ業界でも重大な変化が起こっています。特に年末の祝祭シーズンや旧正月などの時期におけるアジア太平洋地域全体でのポップアップイベント、限定販売、フードバザールといったイベントでもPOSの普及が進んでいます。
私が個人的に楽しみにしている大型ポップアップイベントの1つは、ホテル、露店、ショッピングモールなどで美味しい月餅をプレゼントとして買う中秋節です。当社とRaffles Hotelの提携により、店員が持ち歩けるポータブル端末を採用したmPOSソリューションで、月餅を迅速かつ簡単に購入できるようになりました。レシートの手動照合は不要で、処理も迅速です。Rafflesの店員がホテルの敷地内でPOS端末を持ち歩くため、商品を提供する対象顧客の範囲を簡単に拡大することができます。
当然ながら、ホテル業界用のPOSは、イベント向けのものだけではありません。フロントデスクソリューションや、レストラン向け、またスパなどのフィットネス施設向けのものもあります。詳細については、Adyenにお問い合わせください。
このように、世界ではさまざまなデジタル化が進んでいますが、それで実店舗が時代遅れになった、あるいはPOSソリューションが不要になったということはありません。ブランド各社は、複数のチャネルで購入客の需要と好みを把握する必要があります。まずは、ブランドエクスペリエンスの場所としての実店舗の新たな役割を認識することから始めましょう。また、店舗決済ソリューションによって店舗のポテンシャルをフル活用することが、事業成長に向けたカギとなります。
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