2022 年
ジャパンリテールレポート
業界を形成する傾向と洞察
2022 年以降で想定される懸念、抱負、戦略、投資に ついて、日本の 500 社を含む
23 市場の 1 万社以上の企業
を詳しく調査しました。
そして、日本人 2,002 人を含む 26 市場の 40,000 人の 消費者に、相違があるかどうかを調査しました。
ジャパンリテールレポート 2022へようこそ
企業目標の形態
突然の重大な変化に直面したとき、私たちは自分の希望、懸念、そして目標を新たな視点で検証することを余儀なくされます。昨今のパンデミックはこうした状況を促すきっかけになりました。
緊急事態宣言や再発防止策が頻繁に発令されたため、消費者や企業にとっては厳しい状況が続きました。
日本の経済はこの混乱の中で高い適応力と回復力を発揮して、好調に推移しました。その結果、過半数の企業(51%)が過去 1 年間に 20% 以上の成長を遂げました。
しかし、この状況は長期間は続きません。
パンデミック時にオンラインショッピングがブームとなり、家にこもって消費する新しい文化が生まれました。とはいえ、消費者が実店舗での買い物をやめるという意味ではありません。変化への意欲が生まれたということです。従来、消費者は魅力的な価格や高品質の製品を提供する企業であれば、低品質な小売体験でも受け入れてきましたが、今では、それは通用しなくなってきています。
このような新しい期待に応えるために、テクノロジーが重要な鍵を握っていることは間違いありません。そして、テクノロジーの導入はカスタマーエクスペリエンスを向上させるためだけではなく、提供する企業のためのものでもあるべきです。 パンデミックが回復の方向へ向かっていると思われる中、企業は改めてそれぞれの企業目標を再考しています。
企業目標にはさまざまな形態があります。顧客の期待も同様です。この先もさまざまな課題が生まれてくるでしょうが、過去 2 年間の経験と適応力、そして革新力があれば、企業は良好な状態を保てるでしょう。 一つだけ明確なのは、孤立したシステムを取り払い、事業全体のシステムを統合した企業が、他企業と差をつけるということです。 これらの洞察と提案は、2022 年以降の企業目標を形作り、成長させ、実現することをサポートするために提供されるものです。
<em>第 1 章</em> — デジタルトランスフォーメーションで先行する企業が、競合他社を凌駕する
デジタルトランスフォーメーションは 82兆円規模のビジネスチャンス
日本企業は昨年、小売業、飲食業、ホスピタリティ業を襲ったパンデミックによる困難に直面しながらも、高い回復力を示しました。多くの企業がデジタルテクノロジーに投資し、他多数のビジネスが新しい手段を模索しました。
そして、その投資が奏功したのです。調査対象企業の 51% が 2021 年に 20% 以上の成長を遂げています。さらに、3 分の 1 近く(29%)が、パンデミック時に行った経営改善の投資により、現在の業績が過去を上回っていると回答しています。
もちろん、立ち止まっていては競合他社に追いつかれてしまいます。,日本企業の 81% が 2022 年にさらなる投資を計画しています。
最も重要なのは、どこに投資をするかです。その答えは、デジタルトランスフォーメーションを組織全体で考えることです。日本企業にとって、経営を改善し、バックエンドプロセスを改善し、決済システムの孤立化を解消する時期に来ています。日本企業のうち、決済システムを経営やサプライチェーン管理、在庫管理など、組織の他システムと連携させていると答えた企業はわずか 16% に過ぎません。
経営とカスタマーエクスペリエンスを結びつけることは、売上だけでなく、業務効率の向上にも繋がります。
今回の調査によると、組織全体と決済システムを連携している企業は、連携していない企業に比べて 24% の成長を示しています。成長は企業目標に反映されます。システムを連携している企業の 2022 年の成長は、連携していない企業に比べて27% 高くなる見込みです。
デジタルトランスフォーメーションは、多くのチャンスを生み出し続けることが期待されています。51% の企業が 2022 年に 20% 以上の成長を見込んでいます。これらの成長目標を成し遂げることは、全体として 82 兆円のビジネスチャンスに相当し、多くの企業がさらなる投資と大きな成長を計画している中、この数字はさらに大きくなる可能性があります。実際、技術導入が加速すれば、小売業は今後 5 年間で成長率を 3.9% ポイント上乗せすることができます。
16%
決済システムを組織の他システムと連携させている企業は
日本と他国との比較
独自の文化、習慣、慣習を持つ日本は他の市場と常に同じように比較できるというわけではありません。しかし、特にテクノロジーやデジタルトランスフォーメーションに関しては、日本企業が世界の企業から学べる領域がいくつかあります。
2021 年、日本の大半の企業が成長を確保しましたが、米国や世界平均に遅れをとっています。しかし、決済システムを他システムにつなげた日本の企業は、今回調査した他のどの市場よりも大きな成長を遂げました。
日本
グローバル
米国
2021 年に 20% 以上成長した企業の割合
日本
グローバル
米国
決済システムを組織の他システムと連携させたことで、20% 以上成長した成長率
組織を改善するための投資についても、同様のことが言えます。2022 年に投資を予定している企業の割合は多いとはいえ、日本は米国や世界平均に遅れをとっています。しかし、デジタルトランスフォーメーションに投資する日本企業は、他の市場の企業よりも大きな利益を得ることが見込まれています。
日本
グローバル
米国
今後 1 年間、組織改善のための投資を計画している企業の割合
日本
グローバル
米国
決済システムを組織の他システムと連携させた企業における予測成長率
“飲食業界はパンデミックに見舞われましたが、同時に戦略を見直す余地もありました。従来のやり方を続けるか、それとも新たなチャンスがあるのか。Crown Digitalにとってその答えは明確でした。私たちはデジタル化を進め、非接触型リテールを提供していくことに決断しました。”
Keith Tan — ファウンダー兼CEO
洞察から行動へ
ユニファイドコマースでビジネスチャンスを獲得
46% の企業がユニファイドコマースは売上向上に役立つと回答
常に最高の成果を発揮している企業は、物理的な世界とデジタルの世界を融合させ、顧客を優先した流動的でチャネルに依存しない体験を提供しています。これがオムニチャネルセールスの次のレベルであるユニファイドコマースです。
オムニチャネルビジネスは、顧客に一貫したクロスチャネル体験を提供することに優れています。しかし、その裏側では、バックエンドシステムが連携されていないことが多く、チャネル間の調整が複雑化し、企業が顧客に提供できる体験が制限され、複数のチャネルや地域にわたる業務の俊敏性を損ねています。
ユニファイドコマースでは、オンライン、アプリ、店舗など、すべてのチャネルの決済が同じシステムにまとめられます。これにより、企業はより的を絞った、データ駆動の判断を行い、よりシームレスで柔軟な体験を顧客に提供することができます。また、すべてが連携しているため、新しいチャネルを追加したり、新しいカスタマージャーニーを迅速にサポートすることができ、ビジネスの俊敏性を維持することができます。
<em>第 2 章</em> — 実店舗を好む顧客は依然として多い(ただし、落とし穴がある)
65% の消費者が、オンラインショッピングの利便性を評価する一方、実店舗での買い物を楽しむと回答。
パンデミック時にオンラインショッピングが急増したため、実店舗の役割は少なくなると思われがちですが、実際はそうではありません。
日本の消費者の半数以上(55%)は依然として実店舗での買い物を好んでいます。さらに、58%の消費者が、オンラインで買い物をしたとしても、そのショップの実店舗は重要なタッチポイントであると答えています。
だからといって、店を構えて棚に商品を並べれば、大勢の顧客が来て買い物をしてくれるというわけではありません。パンデミック以降、顧客の期待は高まっています。これまでは低質な買い物体験でも受け入れてきたかもしれませんが、今では 69% の顧客がオンラインでも実店舗でも、低質な買い物体験を提供する店では買い物をしないと答えています。
企業は実店舗を、顧客との良好な関係を築き、エンゲージメントを構築する機会として扱う必要があります。顧客は、店舗に足を踏み入れるとき、商品にとどまらない、より多くのものを求めています。 65% が、実店舗での買い物は楽しみのためであり、オンラインでの買い物は単に利便性のためだと答えています。
店舗を魅力的な目的地にするべきです。59% の消費者が、実店舗はワクワクするような場所であるべきだと考えています。実店舗は、オンラインで購入できる商品やサービス以上のものを提供する必要があります。
企業は、実店舗が重要であることに変わりはないことを認識しています。33% が今後 1 年間に実店舗の売上比率が上がると予想し、29% が同じ期間にさらに新店舗を開くことを計画しています。
エンドレスアイル ショッピング(実店舗で品切れでも、そこでそのブランドのECサイトから注文できるシステム)、宅配用の在庫を確認するキオスクや端末の提供、QRコードやモバイル決済端末による新しい決済方法など、来店価値のある店舗体験を実現するためには、可能な限りスマートな体験を提供するテクノロジーが極めて重要な役割を果たします。
しかし、それ以上に重要なのは、オンラインと実店舗を接続し、ユニファイドコマースによって真にシームレスな体験を実現する能力です。62% の消費者が、店頭で品切れになっている商品を在庫から自宅に直接配送してくれる小売業者を、より頻繁に利用すると回答しています。
さらに、43% の消費者は、オンラインで購入し店舗で返品できる小売業者を、より頻繁に利用すると回答しています。驚いたことに、現在このサービスを提供していると答えた企業はわずか 14% に過ぎません。
オンライン、アプリ、店舗での決済を一つのシステムで連携させること、すなわちユニファイドコマースは、顧客に魅力的なだけでなく、ビジネスにおいても合理的ユニファイドコマースの利点として、46%の企業が売上の向上、40% が顧客の平均消費額を増加、35% が顧客の体験を向上できるためと回答しています。
消費者は、以下のような企業をより頻繁に利用します。
店頭で品切れの商品を購入し、在庫から自宅まで発送できること。
実店舗とオンラインの選択肢があること。
オンラインで購入した商品を店頭で返品できること。
日本と他国との比較
消費者の中に確実に変化が起きており、ショッピング体験への期待値も高まっています。日本は、特に実店舗への期待が、世界平均およびその他の主要な市場を上回っています。
日本と米国は、楽しみの 1 つとして実店舗を利用すると回答し、世界平均を上回っています。実店舗は商品だけでなく、ワクワクする場所であるべきだという考え方は米国を上回っています。
日本
グローバル
米国
オンラインショッピングは便利だが、実店舗での買い物は楽しみのためと回答した消費者の割合
日本
グローバル
米国
実店舗は商品だけでなく、ワクワクする場所であるべきだと考える消費者の割合
ユニファイドコマースに関しては、日本企業は売上や顧客単価に与える影響を認識しており、オンラインストアと実店舗をシームレスに連携させることの重要性を他国に比べて理解しています。
日本
グローバル
米国
ユニファイドコマースが売上向上に貢献すると考える企業の割合
日本
グローバル
米国
ユニファイドコマースが顧客の平均消費額の増加に貢献すると考える企業の割合
“統一されたエクスペリエンスを提供し、モバイル決済やエンドレスアイル機能でよりスムーズな決済プロセスを提供することができるのです。また、店舗とオンラインのエコシステムを接続することで、オンラインを実店舗に拡張することができます。これにより、お客様の購買行動や実用的な洞察を全て把握することができます。”
Nathan Alexander — CTO
今後の展開
テクノロジーで店頭の利便性を高める
決済イノベーションで店舗体験を向上させる方法
対面型決済の強化
エンドレスアイル ショッピングのようなオプションで柔軟性を提供します。POS(販売時点情報管理) 端末を利用してフィードバックを受け、顧客とのやり取りの向上につなげます。
顧客の認識
データ洞察、ブランドアプリ、または決済を通じて、パーソナライズされた経験がロイヤルティーを高めます。
寄付をしやすく
企業や顧客のために、レジでの寄付をしやすくします。
現地に合わせた決済方法
顧客に適切な言語と決済方法を提示します。
<em>第 3 章</em>— ロイヤルティーは通貨
78% の消費者が、商品やサービスの代金をロイヤルティーポイントで支払えるようになることを期待している。
日本人がポイントを好むことはよく知られています。ほとんどの日本人の財布には、さまざまなポイントプログラムのカードがたくさん入っています。
ポイントや割引を求めることをある種のゲームと考える人もいますが、ロイヤルティーの好みは変化しています。69% の消費者が、財布の中を埋め尽くすポイントカードに不満を感じているのです。
ロイヤルティーがイノベーションの機会であることは明白です。消費者の 50% が、小売業者はテクノロジーを使ってロイヤルティープログラムをより簡単かつ効果的にする必要があると回答しています。
決済システムを導入し、組織全体の壁を取り払うことで、より強力なロイヤルティーイニシアチブと経験への扉が開かれます。例えば、78% のお客様が、商品やサービスの代金をポイントで支払えるようになることを期待しています 。さらに、62% の消費者は、決済カードを通じて小売業者のポイントプログラムが自動的に機能できると、その小売業者で買い物する傾向が上がると回答しています。
では、このような体験を消費者に提供することのメリットは何でしょうか?ロイヤルティーを高めるだけでなく、組織の決断や業務改善の指針となるデータを追加することができます。
また、ロイヤルティーは、消費者に新しい体験や製品を試してもらうための強力な手段にもなります。57% の消費者が、より良いロイヤルティー特典を受けるために小売業者のアプリをダウンロードすると回答しています。
またロイヤルティーは、新しい決済方法への移行を促す良い方法かもしれません。日本の消費者の 20% が、Apple Pay、Google Pay、楽天ペイ、LINE Pay などのデジタルウォレットを通じて、ロイヤルティープログラムを一体化するべきだと考えています。
の消費者が、商品やサービスをロイヤルティーポイントで支払えるようになることを期待しています。
の消費者が、ロイヤルティープログラムを決済カードに統合している小売店で買い物をする傾向が上がると回答しています。
の消費者が、より良いロイヤルティー特典を受けるために、小売業者のアプリをダウンロードすると回答しています。
の消費者が、小売業者はテクノロジーを使ってロイヤルティープログラムをより簡単で効果的にする必要があると回答しています。
日本と他国との比較
日本では、消費者がカードを集め、ポイントやボーナスを獲得する傾向が他の多くの市場よりも強く、ロイヤリティに対する姿勢が異なります。ただし、改善の余地がないわけではありません。
日本は、商品やサービスをポイントで支払うことへの期待が調査対象市場の中で最も高く、ポイントプログラムを決済カードに組み込むことに関しても、平均を上回る傾向にあります。
日本
グローバル
米国
商品やサービスをロイヤルティーポイントで支払えるようになることを期待する消費者の割合
日本
グローバル
米国
ロイヤルティープログラムを決済カードに統合している小売店で買い物をする傾向が高いと思う消費者の割合
日本の消費者の大多数が、小売業者がテクノロジーを使ってロイヤルティー特典をより使いやすく、効果的にすることを望んでいますが、世界平均を大きく下回っており、日本におけるロイヤルティー市場がすでに成熟していることを示しています。同様に、日本の消費者は他のどの市場よりも、ポイントカードが財布にかさむことに不満を感じています。
日本
グローバル
米国
小売業者がテクノロジーを使ってロイヤルティープログラムをより簡単で効果的にすることを望む消費者の割合
日本
グローバル
米国
財布がポイントカードで一杯になることに不満がある消費者の割合
“私たちは、ロイヤルティとパーソナライゼーションは切っても切れない関係と考えています。カスタマーエクスペリエンスについて考えるとき、私たちはライドシェア、フードデリバリー、デジタル決済、食料品の配達など、様々な日常ユースケースを可能にしています。このような日常的な体験から消費者情報を収集し、その情報を使って、消費者によりパーソナライズされた有意義な体験を提供することができるのです。”
Saad Ahmed — マネージングディレクター - リージョナルコマーシャル責任者
洞察から行動へ
チャネル間での認知と決済連動型ロイヤ ルティー
顧客のニーズをリアルタイムに対応
決済データにより、企業はあらゆるチャネルと地域において、顧客およびその購買履歴や偏向をリアルタイムに把握することができます。これらの洞察により、企業は顧客セグメントを調査し、その購買行動を理解し、自信を持って戦略を策定することができます。
常連顧客の認識と報酬
顧客認識を利用して、従来のポイントカードやアプリをなくすと、ロイヤリティプログラムがより抵抗のないものになります。オンラインや実店舗で顧客が決済をすると、企業は自動的に顧客を認識し、ポイントや割引、特典を付与することができます。
<em>第 4 章</em> — リアルタイムの決済データに秘められた未開拓の可能性
37% の消費者が、自分の好みを記憶して、オーダーメイドの体験を提供してくれる小売業者を好む。
消費者は、企業が自分のニーズを認識し、予測し、適切でタイムリーに対応することを望んでいます。37% の消費者が、自分の好みや過去の購買行動を記録して、よりカスタマイズされた買い物体験を提供する小売業者を好んでいます。同様に、40% の消費者は、小売業者がパーソナライズされた広告や提案を提供することを好んでいます。
過去のデータに頼らず、リアルタイムのデータ洞察を活用できる企業は、よりパーソナライズされた質の高い経験を提供することができるのです。
決済データや特にユニファイドペイメントから得られる決済データにより、企業は消費者の声をより即座に反映させることができます。この機会を活用する企業は増えていますが、まだ多くの企業がこの機会を逃しています。23% の企業が、決済データを利用して、消費者像や消費者とビジネスの関わり方をより良く把握することに成功しています。 同時に、21% の企業が決済データを利用して、パーソナライズされたマーケティングキャンペーンを展開しています 。
決済データを活用している企業は、人気商品の特定、在庫管理、パーソナライズされたマーケティングキャンペーンの作成、意思決定への活用ができるようになります。これは、決済データが可能にする豊富な洞察を証明するものです。
企業は絶妙なバランスをとる必要があります。企業がカスタマーエクスペリエンスをパーソナライズし、テクノロジーを使って独自のインタラクションを生み出すことを、日本の消費者が望んでいることは明らかです。これは、データなしには実現できません。顧客データを収集、保存、および使用する場合、企業は、個人情報の保護に関する法律(Act on the Protection of Personal Information) に準じていることを確認する必要があります。
世界的に注目されている様々なデータ流出事件を受けて、データの利用に対する懸念が高まっているにもかかわらず、日本の消費者は、海外の消費者に比べて、企業が自分のデータを利用することにあまり抵抗がありません。
33% の消費者は、セキュリティとプライバシーに関する保証がある場合にのみ、小売業者によるデータの保存と利用を許可すると回答しています。そして、31% の消費者は、明解な許可を与えない限り、小売業者は個人データや購買行動情報を使用すべきではないと考えています。
企業は、消費者と自らを情報漏えいや詐欺から守るために、常に最新情報を入手し、コンプライアンスに準ずる必要があります。
の消費者は、小売業者がパーソナライズされた広告や提案を提供することに好感を抱いています。
のお客様が、自分の好みや過去の購買行動を記録し、よりカスタマイズされたショッピング体験を提供する小売業者を好んでいます。
企業は以下の目的で決済データを活用しています。
より正確な顧客像を得る。
パーソナライズされたマーケティングキャンペーンを推進する
人気の商品ラインを特定し、製品開発の指針とする。
日本と他国との比較
第 1 章で示したように、日本企業にはデジタルトランスフォーメーションによって成長と収益を向上させる大きなチャンスがあり、その中でデータは大きな役割を担っています。幸いなことに、日本の消費者は、企業が責任を持ってデータを使用していると信頼しています。ただし、企業はまだデータを十分に活用しているとは言えません。
日本の顧客は、企業がデータを収集し、利用することに対する懸念が、調査対象市場の中で最も低い水準にあります。
日本
グローバル
米国
小売業者は明確な許可なしに個人データを利用すべきではないと考える消費者の割合
日本
グローバル
米国
セキュリティとプライバシーに関する保証がある場合にのみ、小売業者によるデータの保 存と利用を許可する消費者の割合
このように、企業が責任を持ってデータを保存し、使用することに対する安心感や信頼感は、企業にとっての大きなチャンスとなります。しかし、日本では、決済データを組織全体で活用することが世界平均より遅れており、改善の余地があります。
日本
グローバル
米国
決済データを利用して、顧客像や顧客と組織の関わり方をよりよく把握している企業の割合
日本
グローバル
米国
パーソナライズされたマーケティングキャンペーンを構築するために決済データを利用している企業の割合
“デジタルチャネル、ビジネスインテリジェンス機能、決済データは、消費者を深く理解することができ、より良いターゲティング、提案、プロモーションを行うことに役立っています。”
Casper Mooyman — マーケティング責任者
洞察から行動へ
スムーズな決済認証で信頼を確保
コンプライアンスに沿った顧客データの最大活用
消費者は、消費者のアクションを必要としない迅速なプロセスを期待しているため、Strong Customer Authentication(SCA)の明確な計画なしに、Eコマース戦略は完成しません。SCAの適用に万能なアプローチはありませんが、適切なテクノロジーパートナーが企業のために行うことができます。
認証プロトコルの導入は、たとえ規制で義務付けられている場合でも、不正行為を減らすことに役立ちます。しかし、安全な決済を確保するために企業は追加の措置を取るべきです。
Adyen 認証エンジンを使えば、範囲外のトランザクションや適用除外に対して 3D セキュア(クレジットカード本人認証サービス)が発動されることはありません。また、発行銀行が本人認証を実施しない場合は、3D セキュアは省略されます。
新たな企業目標を抱いた 回復力のある産業
証拠はここにあります。日本では 81% の企業が今後 1 年間に組織を改善するための投資を計画しており、成長のためのプラットフォームを構築しています。
証拠はここにあります。日本では 81% の企業が今後 1 年間に組織を改善するための投資を計画しており、成長のためのプラットフォームを構築しています。
過去数年間、回復力と適応力が重要なテーマとなっていますが、チャンスもあります。重要なのは、このチャンスを生かすために、事業全体で適切なテクノロジーに投資することです。
オンラインとオフラインのシステムを連携させ、店舗での体験を向上させるテクノロジーを採用し、デジタルトランスフォーメーションに先んじる企業は、単に生き残るだけでなく、今後さらに繁栄していくことができます。 より良いカスタマーエクスペリエンスの構築、ロイヤルティー特典、経営の改善などが可能になるのです。
Adyen は、これまでもそして今後も、長期的で持続可能な成長を支援することにフォーカスしています。進化し続けるこの業界の最前線をお客様がリードし続けることを約束するとともに、決済がお客様の求める戦略的成長の推進力となる可能性についてお話しできることを楽しみにしています。
KPMG Internationalについて
KPMG は、監査、税務、アドバイザリーサービスを提供する独立したプロフェッショナルサービスファームの世界的な組織です。KPMG は、KPMG International Limited(以下、「KPMG International」)の会員会社が運営し、プロフェッショナルサービスを提供するためのブランドです。「KPMG」は、KPMG の組織内の個々の会員会社、または一つ以上の会員会社をまとめて指す場合に使用されます。
KPMG ファームは 144 の国と地域で活動しており、世界中の会員会社で働くパートナーおよび従業員は 236,000 人以上にのぼります。KPMG の各ファームは、法的に独立した別個の存在であり、そのように自らを表現しています。KPMG のメンバーファームは、各自がその義務や債務に対し責任を持ちます。KPMG International Limited は、イギリスの民間の保証有限責任会社です。KPMG International Limited およびその関連会社は、顧客に対してサービスを提供することはありません。
当社の仕組みの詳細については、home.kpmg/governance をご覧ください。
© The Japan Retail Report 2022
Adyen(AMS: ADYEN)は、大手企業に最適なフィンテックプラットフォームです。エンドツーエンドの決済機能、データに基づく洞察、金融商品を単一のグローバルソリューションとして提供することで、企業がより迅速に目標を達成できるよう支援します。世界中にオフィスをもつAdyenは、Facebook、SHEIN、Uber、L'Oréal、キャセイパシフィック航空、Grab、Klook、シンガポール航空などのお客様にサービスを提供しています。
調査方法
Adyenリテールレポートは、進化する消費者行動と金融テクノロジーを活用し、世界中のビジネスに影響を与える、グローバルおよびローカルな業界のトレンドを示す包括的なガイドブックです。
このレポートでは、小売業を中心に、ホスピタリティや飲食業(F&B)セクターの動向を調査しています。これらの業界は、類似のまたは対照的な課題や機会の両方に直面しています。彼らの視点を取り入れることで、セルフレジやデータ駆動型ロイヤルティープログラムなど、業界間で高まるインスピレーション、戦略、イノベーションの入れ換わりを確実にとらえることができます。
また、幅広い市場のビジネスおよび消費者データをグローバルおよびローカルレベルでの調査と比較し、地域の状況に沿った全体的な視点を提供します。
消費者に関する洞察
Opinium Research LLP は、シンガポール、香港、日本、オーストラリア、アラブ首長国連邦、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ、ポーランド、ベルギー、オランダ、ブラジル、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、米国、カナダ、マレーシア、メキシコ、アイルランド、オーストリア、スイス、インドで 40,020 人の成人を対象に調査を実施しました。
ビジネスに関する洞察
Censuswide は、日本、シンガポール、香港、オーストラリア、アラブ首長国連邦、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ、ポーランド、ベルギー、オランダ、ブラジル、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、アメリカ、カナダ、マレーシア、メキシコ、アイルランドの 11,530 社を対象に調査を実施しました。
統計には、国・地域ごとに小売業 100 社、旅行とホスピタリティ 50 社、飲食業 50 社の最低割り当てが設定されています。
Opinium と Censuswide の調査は、ESOMAR のすべての原則とベストプラクティスに従って実施されました。
経済的な洞察
本調査では、Center for Economics and Business Research(CEBR)に委託し、世界の小売業、ホスピタリティ業、飲食業の現状について分析を行いました。